高速輸送艇高速輸送艇について陸軍の高速輸送艇は敵の航空勢力圏内における高速補給用船艇として使用する目的をもって開発されました。木製V型船型。昭和20年5月現在の区分では廃止されてしまっております(JACAR: C01007870400)ので正式にはどういう位置づけにあったのか不明ですが、昭和19年の段階では取扱区分は「極秘」でした。下記出典に記載してあります第十陸軍技術研究所の研究報告には試作第二艇の図面を含む詳細が掲載されておりますので詳しくはそちらをご参照ください。 量産型(第二型式)は伊號高速艇と命名され横浜ヨット工作所と日本造船で終戦までに約60隻完成。全長33.0m、最大幅5.4m、深さ2.8m、650馬力航空空冷機関3基、速力19k、満載積載量38t。 高速輸送艇第一型式(試作第二艇)の諸元昭和18年9月20日横浜ヨット工作所で試作開始、昭和19年5月15日試作完成。 全長33.000m、最大幅5.000m、深さ2.800m、 常備排水量80.000t、軽荷排水量31.000t、満載排水量97.000t、 速力(常備状態)最大約20.6kt、計画最大23kt、航続距離約1,000浬、燃料搭載量20t、積載量40t、 98式800馬力航空水冷発動機3基。 兵装:四式基筒双連20mm高射機関砲3基、爆雷投下器2基、ら號装置一式、船艇無線機甲一式。 高速輸送艇第一型式(試作第二艇)の改修状況昭和19年1月船舶司令部その他の要望に基づく改修 イ) 双連機関砲3基の装備及びこれに伴う船体構造の変更 ロ) 爆雷投下器の設置 ハ) ら號装置の装備 ニ) 指揮連絡設備の完備 ホ) 諸室配置の改造及び新設 ヘ) 小發泛水装置の廃止、及び折畳舟搭載設備の新設 ト) 荷役装置の改良 チ) 通風装置の改良 リ) 木製燃料タンクの使用 昭和19年3月24日機関室に火災が発生したことによる改修 イ) 機関艤装の一部改修 ロ) 鋼製燃料タンクの搭載(木製のものを廃止)
出典: 1. 「昭和造船史第1巻」(原書房) 日本造船学会編(P.706) 2. 雑誌「世界の艦船」海人社 1996年2月号「日本の陸軍船艇」瀬名尭彦 3. 昭和19年第十陸軍技術研究所研究報告(JACAR: A03032287300-19画像目から) 4.「旧陸軍特殊船舶記録」内山鉄男
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